元尼崎市役所 戸籍住民課 牧さんのおはなし

阪神印刷勤務時代にお世話になった人が、部課長以外にもう一人います。武庫之荘のお屋敷にお住まいだった、牧 行雄さん(故人)のことなんです。国語辞書を開くたびに思い出すのです。僕は、現場で正確な日本語を心がけようとして、何度も何度も「この日本語は合ってますか」と、牧さん(嘱託職員)に訊きに行ったことがありました。極めて小柄な方ですが、戦中派で、態度がビシッとしていました。尼崎市役所で長期間、戸籍住民課(市民課)ご担当の方でした。

お互いに、ジェントルな性格だったため、舌戦にはならなかったんですが、訊きすぎで疲れさせてしまったのかな。今になればそう思います。この人がいなければ、現在の僕の国語力は教科書通りの当たり前の表現しか出来なかったでしょう。

例えば、おのれ【己】と、み【巳】の違い。巳が、今のようにちゃんと閉じてなく、ちょびっと出っ張っているものも「み」と言い、「おのれ」はちゃんと左側が開いているなど。角川書店の「字源」という、昭和30年代の古い漢字辞書を自宅から持って来られ、かなり熱心にやっておられたので、かなりの国語表現の生きた勉強になりました。言わば国語の先生ですね。

ある時、とうに阪神印刷株式会社(尼崎市三反田町)もなくなってしまった後で、当時の住所録を頼りに、当時の名刺を片手に、武庫之荘のお屋敷町をウロチョロしていたら、ありました。立派なお屋敷が。奥様から「主人はもう他界しましたよ」「娘に汀と付けたりねえ」ということを聴いて「ああ、僕が寿命を縮めてしまったかな?」と思ったり。「お世話になってました」と一礼して帰って行きました。

このように、世間で学習する機会は、探せばいくらでもあり「日本語だから通じりゃいいや、多少間違ったって」とFEP(かな漢字変換)通りに打ち込みがちなのですが、そんな時、不意に、敬虔なキリスト教徒だった、牧さんが天国から見ていて「それは違うよ?」とツッコんで来るようで、今でも字を打ち込む時には、そういう「正しい日本語とは何か」ということを考え抜いた「校正さんの折り目正しき文章表現」を心がけているつもりです。牧さんからいっぱい教わったなー。

ネットウイングス 代表 田所憲雄 拝

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