檸檬とLemonとあの頃について(NetwingsJ)

一番好きな歌は何かと訊かれたら、一人の時は「檸檬/さだまさし」です、って答えるでしょうね。檸檬って書いて、レモンって読むんですよ。とても残酷な歌です。今ではこんなに性格も丸くなりましたが、中学高校と荒れていてね。一人っ子だったから、親父の側に付くか、母親の側に付くかで、自分の中で葛藤があって……。両親、仲悪かったからね。夫婦喧嘩は犬も食わぬですよ。

当時、京成成田(富里市日吉台)に住んでいて、持病の気管支喘息もあったもんですから、屈折していてね、性格が今よりも。御茶ノ水の順天堂医院に通うことで、友達よりも勉強が遅れていくことに内心怖くて腹立たしくて。昭和も終わりごろの話です。この歌、御茶ノ水が舞台です。明治大学の学生さんを意識したのでしょうか、若い男女の別れの歌です。マイナーコードの寂しい歌です。

フォークギターを弾いていました。この曲も、当時はファルセットまで声が完全に出ていました。押さえるコードが少ない割にはいい歌だったので、中学校でもギター持ち込んで弾いていました。自分より境遇が残酷な歌を聴くことで、歌うことで、傷口にメンソレータムを塗るような、癒し? そういうものがありまして。

ね、ものすごく暗い歌詞でしょ? かなり手厳しい失恋の歌です。女の人が盗んでかじったレモンを聖橋の上から神田川めがけて投げ捨てる。恋愛の終わりもこうやって捨てるものよ、と相手に言う。そんな歌詞です。聞けば聞くほど寂しいでしょ?

順天堂医院に行った思い出。レモン画翠(画材屋さん)に行った思い出。聖橋から川面を見下ろした思い出。これが噂のスクランブル交差点なのかという体験。学校を休んでこんなことして、果たして気管支喘息って治るんだろうかという漠たる不安。今では懐かしい思い出を、古いアルバムの埃を払うように、たまに読み返すことがあります。米津玄師さんの「Lemon」もどことなく、この曲にインスパイアされているのかな? 似通った部分があるぞ? と思う最近の「Lemon」ですね。

これも、心臓をえぐられるような、寂しい歌ですね。苦いレモンの匂い。切り分けた果実の片方のように、今でもあなたは私の光。MP3を買うほど好きじゃないんですが、これもまた失恋の蒸し返しですね。ああやだ、寂しい寂しい。数々の失恋を経て、それがまた蒸し返されるようで、曲は嫌いじゃないんですが、自分の暗部を照らし出されているようで、何だか切ないです。

話が脱線しましたが、今では、アレルゲンという概念が出来、市販の食べ物にもアレルゲン表示が出来、血液検査でだいたい何を避ければアレルギーにならないかがよくわかり、気管支喘息も、アレルギー性鼻炎もアトピー性皮膚炎も、同じ根っこだということが分かった現在、比較的コンディショニングは良好です。医学の進歩ですね。周囲の理解も進みました。親父、腺病質。母方の伯父、レスタミンコーワ錠をしこたま飲むほどのアレルギー体質。こんな劣性遺伝子です。アレルギー体質は、死ななきゃ治らないみたいな。だから「まっすぐにグレてきた」わけなんですよ。

暖かい部屋で、深夜、ひとりでコッソリ聴く歌が「檸檬/さだまさし」というわけなんです。悲しい歌ばかり聴いていたあの頃について。

ネットウイングス 代表 田所憲雄 拝

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